タイガー・ウッズの如く記録よりも記憶に残る選手になるために
蟬川泰果とゴルフとの最初の出会いは、玩具販売のチェーン店・トイザらスで買い与えられたアンパンマンのプラスチック製のゴルフクラブだった。まだ1歳、物心がつく前のエピソードだ。
「泰果」の名前の由来はご存知の通りあのタイガー・ウッズ。父・佳明さんがゴルフに打ち込んでおり、自身もシングルハンディの腕前、海外でも通用する名前としてレジェンドにちなんだという。
その後、蟬川自身がゴルフにのめり込んで行った理由もまたタイガー・ウッズだった。
「自分と同じ名前のタイガー・ウッズ選手がマスターズや全英オープンで活躍しているのを見て、それがすごく格好良くて。自分も多くのギャラリーから声援を受けるタイガー・ウッズ選手のようになりたいと思うようになりました。記録よりも記憶に残る選手…、それがプロとして目標にしていることです」。
奇跡的かつ伝説的なショットを多く残してきたタイガー・ウッズのような“記録よりも記憶に残る選手”になるには、時として想像を超えるミラクル・ショットさえ必要だと蟬川は考えている。
『For The Players By The Players』の舞台となる“THE club golf village”には、それを演出するポテンシャルがあると蟬川は語る。
「どのホールも印象に残るホールばかりでした。特にグリーンの大きさとアンジュレーションの強さ驚きました。ティショットなんかは、風次第でターゲットが全く変わるので、今までの日本のコースではない感覚も持ちました」。
また、自身初となるポイント制の試合方式について年間を通して戦う中で、違ったスタイルの試合があることは嬉しいことだと言う。
「プレーする側にとってもアグレッシブになる方式だと思います。ガンガン攻めていく気持ちで試合に挑むでしょうし、そうなるといつもとは違ったプロの技やアグレッシブさが引き出される。そんな要素がこの方式には詰まっていると思います」。
フェアウェイを絞ったり、ラフを長くしたり。それ以外の要素においても“THE club golf village”には コースの難度を高めるポテンシャルがまだまだ潜んでいる。ただ、蟬川はそんなセッティングこそ大歓迎だと言う。
「どんなに狭くても、どんなに厳しい状況でも届くなら狙う。それが自分の役目だと思っています。いろんな選手がいるから面白いと思うんです。自分はアグレッシブさで勝負して、魅せていきたいんです」。
蟬川が描く理想のプロ像は、圧倒的な勝ち方ができる選手だ。これは単に圧勝すると言う意味ではない。メジャー級のハイレベルなコースで、圧倒的な勝ち方を収める…、そのためにはドライバーの飛距離と精度、アイアンでピンに絡める正確性の高さ、そしてパッティングでカップに沈める精神力といったように全体的なレベルをもっと高めていく必要とされる。コースこそが選手を育てるツールであり、トーナメントでしか成長できない一面があるからだ。だからこそ『For The Players By The Players』は、選手発信のトーナメント作りを目指す。蟬川の理想は、選ばれた選手だけが出場できるトーナメント。最高の舞台で本当の日本一を決めるような大会になれば、ギャラリーの熱狂度も変わってくるのではと語る。
来年の『For The Players By The Players』では、蟬川はどのようなアグレッシブな攻めでギャラリーを沸かせてくれるのだろうか。夢のような空間に立つことを蟬川自身が待ち望んでいる。