河本力

プロとして譲れないもの、飛距離へのこだわり

2000年生まれの23歳。183センチ、86キロの恵まれた体は努力によって作り上げられたものだ。
ルーキーイヤーとなった2022年は『Sansan KBCオーガスタ』と『バンテリン東海クラシック』で2勝を挙げるなどの活躍。さらにドライビングディスタンスでは315.74ヤードで1位を獲得した。「河本力=飛距離」というイメージをプロの舞台でも確立させたわけだ。

「飛距離は手に入れることは難しいと言われていたことなので、昔から飛距離を出そうと思ってトレーニングをしてきました。それである程度は飛距離を出せるようになったので、昔から意識してきて良かったと思っています。飛距離を武器として使えるのは一番大きいことだと思うので、それをしっかりアドバンテージにしたいですね」。

飛ばし屋の称号を手に入れた河本だが、元々飛距離が出ていたわけではない。出身地・愛媛県の松山聖陵高校時代に3年間をかけて30キロを増量。当時は飛距離を伸ばすことだけを考え、筋トレはもちろんのこと、ストレッチ、食事などにも注力。1日6回のプロテインに、米も肉もかなりの量を摂取したとのこと。体をとにかく大きくすることだけを考えて、率先的に野球部のトレーニングなどにも参加したと言う。
ただ、競技でゴルフをやっている以上、スコアというものを自身も求め、周囲も期待する部分があるが、体を大きくする過程でスコアとの両立は難しく、葛藤する部分もあったはず。ただ、河本の目線はそのとき、すでに世界で活躍することに向けられていた。
「プロ1年目からドライビングディスタンスで1位を獲れたのはすごく誇りに思います。飛距離のために高校時代からやってきてよかったと思っていますし、今年ももちろん誰にも負ける気はしないです。(ドライビングディスタンスで)1位を獲りに行きたいと思っています」。

河本には“世界で戦える、世界一のプレーヤーになりたい”という目標がある。ゴルフにおいて、飛距離が全てではないが、飛ばせることが世界のスターンダードになっていることは間違いない。河本自身が言うように飛距離は誰もが手に入れられるものではない。よく「飛ばしは才能だ」と言われるが、河本には努力で培ったフィジカルと、元来元合わせている飛ばしのセンスの両方を持ち合わせた最強の飛ばし屋だ。
「ギャラリーの皆さんを驚かせることができるのはやっぱり飛距離なんじゃないかなと思っています。感動というか、ワッと言わせるショットをお見せできると思うので、ぜひ会場に見にきてもらいたいですね」。

そんな飛距離に対して絶対的な自信とこだわりを持つ河本だが、『For The Players By The Players』において、どのようなホールがあるとプロとして興奮するかとの問いに、意外にも17番パー5の改良案をあげた。

「グリーンの真ん中に池がある。そう言うコースは見たことがないので、自分自身もすごく見たいですし、体験したいなと思います。どうやって攻めるのか想像ができないので、実現したらどうなるのか、楽しみです。それに17番という終盤でそう言うホールがあるとポイント制のこの試合では、何ポイントリードしていても余裕を持つことができないので、かなり盛り上がりそうですよね」。

グリーンの真ん中に池。実現すれば世界でも例を見ないパー5ホールになるはずだが、プロにとって戦っていてタフだと感じるコースだったり、難しいと感じる環境だったりが、世界レベルのゴルファーを育てる要因になると河本。
「このコースは日本におけるメジャー級、それ以上のセッティングにできる印象があるので、そう言うコースで切磋琢磨できれば、日本のプロゴルファーのレベルアップにつながると思います」。

去年の大会では予選落ちに終わったが、来年は成長した河本を会場で見られるはず。飛距離はもちろんのこと、メジャー級の戦いを演じ、コースで輝く河本の姿を見るのが今から楽しみで仕方がない。