2023年シーズンは『ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント』、『横浜ミナトChampionship〜Fujiki Centennial〜』で優勝するなど、賞金王争いの中心にいる中島啓太。8月には松山英樹(10試合)、金谷拓実(19試合)に次ぐ歴代3番目の速さとなる20試合で生涯獲得賞金1億円突破を達成。名実ともに日本のエースとなった。 中島啓太と言えば、アマチュアゴルファーに与えられる最高の栄誉であるマーク・H・マコーマックメダルを史上初、2年連続で受賞するという偉業を成し遂げるなど、アマチュア時代からすでに世界最高のゴルファーと評されてきた。 プロとなった中島の目標ももちろん世界だ。アマチュア時代から世界各国の試合に出場し、海外での経験も豊富な中島だが、世界で活躍するには“挑戦する気持ち”が必要になると言う。 「技術的なことやフィジカル的なことはもちろんですが、挑戦する気持ちが必要だと思っています。いかに勇気を出して海外に出られるかが一番大事なところかなと思っています」。 勇気を持って挑戦する。その言葉の向こう側には、スポット参戦ではなく年間を通して海外で戦う覚悟がある。 「去年、全米オープンにアマチュアで出場させてもらいましたが、海外のメジャーは向こうで1年戦った選手がナンバー1を決める大会なので、スポット参戦で通用する場所ではないということを、松山(英樹)さんからも教えてもらいましたし、自分自身もそう感じました。向こうで戦っている選手でなければああいう大会でトップに行けないと強く感じました。また、プロになってPGAツアーの試合に推薦で出場させてもらったことがあるんですが、やっぱりスポット参戦というか、向こうにパッと行って活躍できるような甘いフィールドではないと感じました。常に向こうにいて、それでやっと通用するというか。それでも難しいと思いますが、日本にいて向こうに急に参戦して活躍するのは難しいと思っています。もっと勇気を持って海外に挑戦して、世界で活躍できる選手になりたいと思っています」。 世界を目指す中島にとって一つのターニングポイントになったのが今年の全英オープンだ。中島は常々「ゴルフファンから応援されながらプレーするのが一番の幸せだと思っています」と話している。全英オープンで体感した世界中のゴルフファンが会場に訪れ、最高のプレーに声援を送る光景に感動し、そしてそういう環境で自分もゴルフがしたいと強く感じた。 “世界中のゴルフファンに応援されながらトーナメントでプレーする”と言う自身の夢がそこに存在していた。 世界レベルのゴルファーになるためには、世界レベルのコースでプレーすることも大事になる。中島の『For The Players By The Players』への思いを聞いた。 「ポイント形式の試合の経験はまだありません。ただ、バーディを獲りに行く姿勢が必要になってくると思います。【THE CLUB golf village(旧:THE RAYSUM)】には海外のコースと同じように、絶対に入れてはいけないバンカーやラフ、外してはいけない場所があります。コースセッティングが選手を育てると思っていますが、ここは海外のコースと同じようなセッティングができるコースだと感じています。そこでのプレーは自分自身も今から楽しみです」。 かつては我慢比べのような試合展開を得意としていた中島だが、今季優勝した『ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント』がそうだったように、伸ばし合いの試合でも勝ち切れるよう進化している。『For The Players By The Players』は選手のアグレッシブなゴルフを引き出してくれる大会。そこでプレーすることを今から楽しみだと言う中島だが、日々進化する中島が大事にしているのが“チーム力”だ。 中島が世界を目指す上で大事にしている “チーム”とは、スイングやフィジカル、メンタル面はもちろんのこと、中島を支えるスポンサーやギアメーカーのスタッフなど全ての人のことを指し、中島はチームとして戦う意識を強く持っている。「チームのおかげ」という言葉をよく使う中島だが、チームとしての準備が自分自身の最高のプレーを引き出してくれると認識している。『For The Players By The Players』でもそのチーム力を発揮し、観客を魅了する感動的なプレーを披露してくれるに違いない。
2000年生まれの23歳。183センチ、86キロの恵まれた体は努力によって作り上げられたものだ。 ルーキーイヤーとなった2022年は『Sansan KBCオーガスタ』と『バンテリン東海クラシック』で2勝を挙げるなどの活躍。さらにドライビングディスタンスでは315.74ヤードで1位を獲得した。「河本力=飛距離」というイメージをプロの舞台でも確立させたわけだ。 「飛距離は手に入れることは難しいと言われていたことなので、昔から飛距離を出そうと思ってトレーニングをしてきました。それである程度は飛距離を出せるようになったので、昔から意識してきて良かったと思っています。飛距離を武器として使えるのは一番大きいことだと思うので、それをしっかりアドバンテージにしたいですね」。 飛ばし屋の称号を手に入れた河本だが、元々飛距離が出ていたわけではない。出身地・愛媛県の松山聖陵高校時代に3年間をかけて30キロを増量。当時は飛距離を伸ばすことだけを考え、筋トレはもちろんのこと、ストレッチ、食事などにも注力。1日6回のプロテインに、米も肉もかなりの量を摂取したとのこと。体をとにかく大きくすることだけを考えて、率先的に野球部のトレーニングなどにも参加したと言う。 ただ、競技でゴルフをやっている以上、スコアというものを自身も求め、周囲も期待する部分があるが、体を大きくする過程でスコアとの両立は難しく、葛藤する部分もあったはず。ただ、河本の目線はそのとき、すでに世界で活躍することに向けられていた。 「プロ1年目からドライビングディスタンスで1位を獲れたのはすごく誇りに思います。飛距離のために高校時代からやってきてよかったと思っていますし、今年ももちろん誰にも負ける気はしないです。(ドライビングディスタンスで)1位を獲りに行きたいと思っています」。 河本には“世界で戦える、世界一のプレーヤーになりたい”という目標がある。ゴルフにおいて、飛距離が全てではないが、飛ばせることが世界のスターンダードになっていることは間違いない。河本自身が言うように飛距離は誰もが手に入れられるものではない。よく「飛ばしは才能だ」と言われるが、河本には努力で培ったフィジカルと、元来元合わせている飛ばしのセンスの両方を持ち合わせた最強の飛ばし屋だ。 「ギャラリーの皆さんを驚かせることができるのはやっぱり飛距離なんじゃないかなと思っています。感動というか、ワッと言わせるショットをお見せできると思うので、ぜひ会場に見にきてもらいたいですね」。 そんな飛距離に対して絶対的な自信とこだわりを持つ河本だが、『For The Players By The Players』において、どのようなホールがあるとプロとして興奮するかとの問いに、意外にも17番パー5の改良案をあげた。 「グリーンの真ん中に池がある。そう言うコースは見たことがないので、自分自身もすごく見たいですし、体験したいなと思います。どうやって攻めるのか想像ができないので、実現したらどうなるのか、楽しみです。それに17番という終盤でそう言うホールがあるとポイント制のこの試合では、何ポイントリードしていても余裕を持つことができないので、かなり盛り上がりそうですよね」。 グリーンの真ん中に池。実現すれば世界でも例を見ないパー5ホールになるはずだが、プロにとって戦っていてタフだと感じるコースだったり、難しいと感じる環境だったりが、世界レベルのゴルファーを育てる要因になると河本。 「このコースは日本におけるメジャー級、それ以上のセッティングにできる印象があるので、そう言うコースで切磋琢磨できれば、日本のプロゴルファーのレベルアップにつながると思います」。 去年の大会では予選落ちに終わったが、来年は成長した河本を会場で見られるはず。飛距離はもちろんのこと、メジャー級の戦いを演じ、コースで輝く河本の姿を見るのが今から楽しみで仕方がない。
蟬川泰果とゴルフとの最初の出会いは、玩具販売のチェーン店・トイザらスで買い与えられたアンパンマンのプラスチック製のゴルフクラブだった。まだ1歳、物心がつく前のエピソードだ。 「泰果」の名前の由来はご存知の通りあのタイガー・ウッズ。父・佳明さんがゴルフに打ち込んでおり、自身もシングルハンディの腕前、海外でも通用する名前としてレジェンドにちなんだという。 その後、蟬川自身がゴルフにのめり込んで行った理由もまたタイガー・ウッズだった。 「自分と同じ名前のタイガー・ウッズ選手がマスターズや全英オープンで活躍しているのを見て、それがすごく格好良くて。自分も多くのギャラリーから声援を受けるタイガー・ウッズ選手のようになりたいと思うようになりました。記録よりも記憶に残る選手…、それがプロとして目標にしていることです」。 奇跡的かつ伝説的なショットを多く残してきたタイガー・ウッズのような“記録よりも記憶に残る選手”になるには、時として想像を超えるミラクル・ショットさえ必要だと蟬川は考えている。 『For The Players By The Players』の舞台となる“THE club golf village”には、それを演出するポテンシャルがあると蟬川は語る。 「どのホールも印象に残るホールばかりでした。特にグリーンの大きさとアンジュレーションの強さ驚きました。ティショットなんかは、風次第でターゲットが全く変わるので、今までの日本のコースではない感覚も持ちました」。 また、自身初となるポイント制の試合方式について年間を通して戦う中で、違ったスタイルの試合があることは嬉しいことだと言う。 「プレーする側にとってもアグレッシブになる方式だと思います。ガンガン攻めていく気持ちで試合に挑むでしょうし、そうなるといつもとは違ったプロの技やアグレッシブさが引き出される。そんな要素がこの方式には詰まっていると思います」。 フェアウェイを絞ったり、ラフを長くしたり。それ以外の要素においても“THE club golf village”には コースの難度を高めるポテンシャルがまだまだ潜んでいる。ただ、蟬川はそんなセッティングこそ大歓迎だと言う。 「どんなに狭くても、どんなに厳しい状況でも届くなら狙う。それが自分の役目だと思っています。いろんな選手がいるから面白いと思うんです。自分はアグレッシブさで勝負して、魅せていきたいんです」。 蟬川が描く理想のプロ像は、圧倒的な勝ち方ができる選手だ。これは単に圧勝すると言う意味ではない。メジャー級のハイレベルなコースで、圧倒的な勝ち方を収める…、そのためにはドライバーの飛距離と精度、アイアンでピンに絡める正確性の高さ、そしてパッティングでカップに沈める精神力といったように全体的なレベルをもっと高めていく必要とされる。コースこそが選手を育てるツールであり、トーナメントでしか成長できない一面があるからだ。だからこそ『For The Players By The Players』は、選手発信のトーナメント作りを目指す。蟬川の理想は、選ばれた選手だけが出場できるトーナメント。最高の舞台で本当の日本一を決めるような大会になれば、ギャラリーの熱狂度も変わってくるのではと語る。 来年の『For The Players By The Players』では、蟬川はどのようなアグレッシブな攻めでギャラリーを沸かせてくれるのだろうか。夢のような空間に立つことを蟬川自身が待ち望んでいる。
2023年はPGAツアー下部のコーンフェリーツアーを主戦場に戦っている桂川有人。2022年に群馬県の「THE CLUB golf village(旧:THE RAYSUM)」で初開催されたJGTO主催トーナメント『For The Players By The Players』には、そのコーンフェリーツアーの予選会出場などもあり欠場していたが、2022年末に「THE CLUB golf village」を訪れ、コースを体験してもらった。その際に桂川が感じたのは、コースこそが選手のポテンシャルを引き出す唯一無二のツールになるということだ。 コースに対しての印象を「グリーン周りの形状から、高い技術が求められるコースだと感じました。ただ、ここには外しちゃいけないという場所があるのはいいんですが、逆にここに打てればピンに寄っていく。そんな仕掛けがあっても面白いのかなと思いました」と話す桂川。 単にセイフティーかどうかではなく、きっちり攻めるべきところに打てた時にはバーディやイーグルが獲れる。そんなコースセッティングこそが、選手の挑戦心を奮い立たたせて、面白いゲームを演出することになると言うのだ。 桂川にとって挑戦することは自身のライフスタイルであり、もっとも大切にしていることで、挑戦する姿を見せることがプロとして生きる道だと考えている。 「(トーナメントで)優勝することも大事なんですけど、心に残るショットというか、記憶に残る1打を打つことへの憧れがあります。それを打つためには練習するのみですし、もちろん経験も必要になります。自分の中に“同じことをやっていても変わらないじゃないか”っていう思いがあって、いろんなことに挑戦することで、今の自分を超えていけるというか、新しいことができるようになるんじゃないかと思っています」。 桂川の挑戦人生は中学卒業後に単身でフィリピンへゴルフ留学したそのときから始まっている。言葉も通じない、治安的にも日本ほど良くはない海外で1人生活するのには、もちろん不安もあっただろうし、簡単なことではなかったはず。しかし、桂川は挑戦することを楽しみに変え、見事に自らの成長に繋げた。そんな経験が今年の米ツアー挑戦にも生きている。 「あんまり苦しいとは思わなくて、それ(米ツアー)に挑戦できていることに幸せを感じますし、やりがいも感じます。その場、その場を楽しむというか、人生を楽しむというか。あんまそのあたりは深く考えてないかもしれません。ただ、あの時出来なかったショットに対して、なぜ出来なかったかを考えながら練習したり、その場面のシチュエーションで練習するようにしたり、そうしたら自然とできるようになって。そういう挑戦の繰り返しなのかなと思います」。 米ツアーでプレーすることで得たのは考える力だ。そうさせているのは間違いなくコースの存在であり、コースセッティングにある。桂川が言う挑戦したくなるコースとは、同時に選手に考えさせるコースでもある。そう言う意味で、桂川自身が、いまだ経験したことのない「ステーブル方式」は、コースへ挑戦しがいのある試合形式として興味を抱いている。「良いショットをしたらご褒美があり、失敗したら罰もある。それにちゃんと差ができる方式っていう部分では、モチベーションが変わったり、考え方が変わったりすると思うので、そこは楽しいかなと思います」。 日本のコース、特にプロのトーナメントが開催されるコースではマネージメント力が重視され、挑戦と言うキーワードが二の次になる傾向がある。だからこそ「ステーブル方式」にはそれを払拭できる可能性がある。選手に挑戦しようと思わせる。もちろんそのためにはコースも重要になり、選手目線でのコース作り、環境作りへの参加が必要になる。『For The Players By The Players』とは自分たちによる自分たちの大会を意味するが、桂川自身も「自らコースに携わって、コースと自分達選手が一緒になって作り上げていく。世界に通用する選手を出していくためにはコースも大事で、記憶に残るショットが打てるようなコース作りだったり、自分達の力を加えたコース作りだったりに参加していけたらいいなと思っています」と話す。 世界に通用する選手を育てるには環境が重要であり、そのために『For The Players By The Players』は選手とともに成長し続けていかなければならない。桂川発信のアイデアも2024年大会では大いに反映されていることだろう。
2022年、群馬県「THE CLUB golf village(旧:THE RAYSUM)」で初開催されたJGTO主催トーナメント「For The Players By The Players」について中西直人はどう捉えているのか。 同大会では、2日目に3位タイに浮上するものの、3日に崩れた中西だが「いや、めっちゃくちゃ楽しかったです。こんな大会初めてでしたし。本当に感動しました。(ステーブル方式は)男子プロゴルフを魅せる方式だと実感しました。とは言えやはりダブルボギー、トリプルボギー打ってしまうとマイナス3ポイントになってしまうので、そのあたりもマネジメントしながらも、バーディをたくさん取りに行く攻めのゴルフができます。男子ゴルフの魅力を伝えるのは、バーディを量産するような攻めが必要と思います。その意味でも挑戦心に火が点きましたし、自分が練習していることが、すべて出せる試合だと思ったので、シンプルに面白かったです」と振り返った。 「THE CLUB golf village」のコース改修事情などもあり2023年は開催カレンダーに掲載されていないものの、24年の開催はすでに決定。次大会について中西は「意気込みは正直、去年トーナメントが終わってからも全然変わってないです。優勝するため、自分がこの会場で優位に立つために何をしたらいいのか、考えないといけない。その基本に立ち返り、自分でやらなければならないことをやるだけです。そしてやはり『By The Players For The Players』という名称の通り選手自身が、ファンのみなさんに知ってもらうための活動に積極的に取り組んでいかなければいけないと考えます。応援してくれるファンのみなさん、サポートして頂くスポンサー様のためにも、選手全員とゴルフ場のみなさんと一緒に、どう面白くできるのか、そしてどうしたら大会に足を運んでもらえるのか…まずはこれが来年までの課題だと思っています。選手会全員で話し合いながら、みんなで計画して行きたい」と意気込みを語った。 また本大会そのものを大きく育てて行く点については「大会を大きく…とひと口に言っても、それは賞金額だけではないと思います。そもそも賞金額の大きさが大会の成功だとは考えていません。大会終了後に選手会も含め、関係者が満足できるのか…これが一番の成功。そのためには関係者全員が『どう終わったら満足できるのか』を考えるのが、一番大切なんだと思っています」と、その思いを口にした。 「THE CLUB golf village」は自然の里山の中にゴルフ・コースを築き上げる…そんな志の下、構想も大きくアメリカ、マスターズのようなゴルフ場を日本にという思いでスタートしている。インタビュー当日も実際にラウンドした中西は、このコースについては「自然環境を含めて素晴らしいと感じました。起伏にも溢れたロング・コース。そして、ただただ長くて難しいだけじゃなく、やはり良いショットを打たなければ、すぐにペナルティを喰らう。選手を育ててくれるような、そんな戦略性の高いコースですね。しっかり練習しないと最高のパフォーマンスを引き出せない。そういう意味では最高のコース。特にどのホールが…と聞かれると、もう全ホールです。1番から18番まですべて説明しないといけないほどの素晴らしいコースですね。中でも4番ホールは、距離的には短いんですが池にも絡んで来る。セカンド・ショットをピタッと決めないと苦しくなり難所です。15番も距離を合わせにくいですし、16番、17番、18番…うーん、すべてでドラマが生まれそうな綺麗なコースに仕上がっているので、みなさんに観に来て頂いて、ぜひプレーしてもらいたいです。プロにとってもチャレンジ精神が必要とされると思います。そして、このコースで良いショットを打てない限りは、世界に羽ばたいて行けないと思います。本当にいろんな気づきを与えてくれるコース設計です」と難易度を明らかにするとともに絶賛した。